孤高の英国靴専門店 ロイドフットウェア

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銀座と大阪に店舗を構える『ロイドフットウェア』。靴好きにはお馴染みのお店ですが、目立つ広告宣伝を行わずほぼ口コミのみで根強いファンが多いお店です。

ロイドフットウェアは創業者の豊田茂雄氏が代官山で英国のアンティーク家具やアパレルを輸入し販売していたお店が始まりのようです。その中で英国の靴は素晴らしいのに日本人に合うラストの靴が存在しないこともあり、創業者の豊田氏がノーザンプトンの工場に直接出向いて日本人向けの商品を別注したことから靴の販売をスタートした歴史があります。

このお店のOEM先の話をするのは粋ではありませんが、古くはホワイト、テクニック、エドワードグリーン等をOEM先としており、ラインによって発注先の工場を分けています。最上級のシリーズである“マスターロイド”は前述のエドワードグリーン製だったということは靴の愛好家の中では有名な話ですね。

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ロイドフットウェアとの出会い

自分とロイドフットウェアとの出会いは約17年程前でした。当時はロングノーズでマッケイ製法の靴が一世を風靡していた時代であり、朴訥としたクラシカルな英国靴は見向きもされなかった時代だったと記憶しています。

この時に非常に元気が良かった靴のお店は“ワールドフットウェアギャラリー”を筆頭としたセレクトショップで、特によく売れてたのはロブスやゼノービ、マグナーニ、ボリーニ、変わり種ではウーゴ&エンツォといったものでした。トレーディングポストが扱うソフィスアンドソリッドなども元気があったブランドでしたね。

その他にはサントーニやテストーニもブランドとしては雑誌等にもよく取り上げられていて人気があり、当時は細身でロングノーズでソールが薄い靴がエレガントであるというイタリアやスペイン靴が主流で人気でした。

その頃ロイドフットウェアをよく知らない当時の自分が一度銀座店を訪れたことがあり、そっけないスタッフの態度とつまらない靴(流行とかけ離れた靴)がたくさん並んでいたという記憶が鮮明に残っています。その後時代の移り変わりや自分自身の好みの変化により現在では4足のロイドフットウェアの靴を所有しています。そのどれもが足によく合っており、ロイドの靴は本当に所有して満足度が高い靴を提供してくれるお店だと思います。

靴を通販で買ったと言って店長に怒られる

大阪店ができる前は銀座店1店舗の時期がありましたが、それ以前は銀座店と青山店の2店舗での営業を長らくしていました。青山店には雑誌にもよく登場するU店長という名物店長がお店を切り盛りされており、青山店に一度だけ行ったことがあります。

当時は歴史的なポンド安で靴好きの間では個人輸入が一大ムーブメントとなっており、herringshoespediwearbodileysで購入することが流行っていました。例に漏れず自分自身も個人輸入したチャーチのシャノンを履いており、そして青山店に行ったのでした。

その当時はロイドの靴は持っておらず青山に行ったついでにお店を覗いてみようという軽い気持ちで顔を出したのですが、そこで靴を試着させてもらうことになり椅子に腰を下ろし履いている靴ひもを緩めていたところ、『チャーチ』とU店長。その後雑談をしながら靴を試着させてもらったのですが、会話の中でどこでその靴を買ったのかというような話になり、『個人輸入で通販で買いました』と答えました。

当時はその質問に正直に答えたつもりでしたがその後はU店長からみっちりお説教を頂くことになりました。『靴は試着しないで買うもんじゃないよ』ということから始まり、フィッティングの大切さをしっかりと叩き込んでいただき最後は逃げるようにお店を出てきたのは強烈な思い出です。

店内にも『私たちは合わない靴は売りません』と掲示しており、実際に購入後3か月以内に靴が合わないと申し出てスタッフもそれを確認した場合は返金保証をするというお店の姿勢を教えてもらう機会となりました。

この頃はトリッカーズやパラブーツが約200ポンド(約27,000円)、クロケット&ジョーンズのハンドグレードが約350ポンド(約48,000円)、エドワードグリーンが約550ポンド(約75,000円)程で個人輸入できていたので、フィッティングを大事にしようというよりもとにかく安く個人輸入して買うという時代だったので自分にとっても考えを改める良いきっかけとなりました。

余談ですが、青山店が閉店した後に前述のU店長が銀座店の店長として異動されましたが、展示してある靴のライニングとインソールが気になりシューツリーをこっそり抜こうとしたところ、それが見つかって怒られました(笑)。とはいえ、U店長からも1足購入することができましたので良い思い出ということで心にしまっておこうと思います。

買いに行ったのに売ってもらえなかった

靴が好きになっていろいろな靴を集めるようになると、つい後回しになってしまうのが雨の日用の靴です。当時は営業職として毎日スーツを着て外周りをしており、雨の日にはテンションの上がらない就職活動中から履いているリーガルのガラス靴を履いていました。

スーツに合わせられるラバーソールの靴で何か良い靴は無いかと色々と探していたところ、世間で評判が良いのはスコッチグレインのシャインオアレインにパラブーツといったところでしたが、パラブーツは少しカジュアルな印象があったこと(後に3足買いますが)、スコッチグレインは何となく受け付けないという勝手なイメージを持っておりしばらく靴選びは難航していました。

そこでふとひらめいたのは、ロイドのエントリーモデルであるVシリーズはどうだろうということです。当時Vシリーズは税込み29,400円という非常にリーズナブルな価格でダイナイトソールを装着している全天候型のモデルとして展開されていました。同価格帯では本物のダイナイトソールを搭載した靴は他には存在せず、ダイナイトソール“タイプ”であったりビブラムソールであったり、よく分からないセメント製法のゴム底だったりと、イギリス製のダイナイトソールを搭載している靴は本当に少なかったと記憶しています。今ではラバーソールを展開しているメーカーは数多く存在していますが、当時はラバーソールのドレスシューズの英国靴を探すのは本当に大変でした。

自分の中ではロイドのVシリーズがまさに理想としている一足だと確信し銀座店に買いに行き、冠婚葬祭にも使えるようストレートチップの黒を買おうと意気揚々とお店を訪問し実際に試着したところどうにもしっくりこない。でも欲しい気持ちが盛り上がっているのでこれでいいかと思っていたところ、スタッフの方から『これはあなたの足には合わない靴なので売れません』と言われてしまいました。

まさかこんなことになるなんて・・と呆然としてしまいました。

客が欲しいと言っているのに売らないという姿勢は当時営業職だった自分には衝撃的すぎて想像もできない言葉であり、がっかりした気分になってしまいましたが結果的にはお店のポリシーそのものである『合わない靴は売りません』は本当のことなんだなと感心させられ信頼度が一気に上がったという経験になりました。

紹介した後輩も売ってもらえなかった

その後何年かして職場の後輩が『良い靴を探しているのでお店を紹介して欲しい』とのことで、真っ先にロイドフットウェアが頭をよぎり早速後輩を連れてお店に伺いました。

その後輩はあまり靴や服装に興味があるタイプではなく、履いている靴もツープライススーツのお店でスーツと一緒に買ったという靴を履いていました。これから革靴愛好家への道を歩んでもらうにあたり初心者のうちから最短距離で良いものをと後輩を思ってロイドフットウェアに一緒に行きましたが、試着を何種類かさせてもらった後に後輩が『そしたらこの靴をください』と購入の意思を伝えたところ、『先輩もウチのお客さんで紹介してくれたんだろうけど、周りにも靴屋はたくさんありますので何店舗か回ってみてそれでもこの靴が欲しかったら最後にもう一回来てください』と購入を断られてしまったのです。

お店にも後輩にも申し訳なかったなという気持ちでいっぱいになりましたが、別の後輩にもロイドを紹介し彼は無事に購入することができ、その後も数足購入しているようなので紹介して良かったと思っています。

顧客に寄り添った価格設定

冒頭で書いたようにロイドフットウェアのOEM先をについて触れることは粋ではないことは分かっていますが、OEM先ネームの商品とロイドネームの商品では1足あたり無視できないほどの価格の違いがあります。

例えば銀座店の並びのトレーディングポストで販売しているクロケット&ジョーンズのオードリーは税込み10,1200円(2021年7月現在)であり、マスターロイドのホワイトホールは税込み77,000円と約25%の価格差(24,200円)があります。もちろん全く同じ商品とは言えないので単純比較はできませんがマスターロイドがクロケット&ジョーンズのハンドグレード相当と考えるといかにロイドフットウェアが良心的な価格で販売しているかが分かります。

実際にホワイトホールを所有している身としては、革質に関してはクロケット&ジョーンズのハンドグレードとスタンダードラインの中間くらいがマスターロイドの革質と思えるため、上記の通り単純計算では比較できないとは思いますがそれでも正直安すぎる価格設定です。

現状は税抜きで70,000円ですがポンドが安くなった時には値下げも実施しています。輸入品を取り扱う企業は値上げは迅速に行うのに値下げは行わないのが常ですが、ロイドは為替の値動きによって消費者還元をしてくれます。自分がマスターロイドを購入したときの価格は56,000円に消費税だったと記憶しています。

ロイドフットウェアのオンラインショップが立ち上がった

銀座と青山の一等地にお店を構えていて、商品の価格も他店よりも安く提供しており積極的な営業スタイルを執らないロイドフットウェアは本当にやっていけるのだろうかと余計なお世話ですが常々思っていました。ある時からお店にトリッカーズの商品が並び始め、青山店が閉店するという流れにもなりロイドフットウェアもいよいよかと思っていましたが、未確認ながらどうやら大きい資本の下に入ったようでこれからも存続できそうで安心しました。

何よりとても驚いたのがロイドフットウェアの公式ホームページができたこと、そしてオンラインショッピングが開始されたことです(公式インスタアカウントもできた)。過去にオンラインで買った靴を履いて店に行って怒られた身としては非常に衝撃的なことでした。合わない靴は売らないというポリシーを貫いてきたロイドフットウェアが通販を始めたということ。時代の変化を感じるとともにそれまでの経営陣では決して行われなかったことが行われるようになったという事実。頑なに自分自身のスタイルを守ってきても時代には逆らえないという寂しさもありますが、お店が存続するために必要なことであれば良いことだと思います。

この数年間で輸入靴は毎年のように値上げを行い、5万円で買えていた靴が8万円になり、7万円の靴が10万円になるような値動きを続けています。そんな中でも極力値上げをせずに企業努力で入手しやすい価格で英国靴を販売しているロイドフットウェアは本当に貴重で唯一無二のショップです。販売スタイルは変わりましたがまさに英国の良心を具現化しているロイドフットウェアを今後とも応援したいと思います。

所有しているロイドフットウェアの靴はVシリーズ、Mシリーズ、マスターロイドの各シリーズになりますが、靴については追ってレビューをご紹介したいと思います。

引用:Pen Online

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ストレートチップ/ダイナイトソール(黒)
価格:39600円(税込、送料無料) (2021/9/8時点)


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