革靴好きとして想うこと ー靴磨きや靴磨き職人、今後靴を取り巻く環境について考えるー

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この1年はコロナ禍ということもあり、テレワークが推奨され通勤が無くなったという人も多いと思います。

このテーマで書こうとしている革靴についても、すっかり履かなくなったという人が増えたのではないでしょうか。休日に電車に乗っていてもスニーカーを履いている人が圧倒的に多いですよね。

自分自身約15年ほど趣味というか好きなものの一つとして“革靴”というものがあります。ヨーロッパやアメリカ、もちろん日本のメーカーの靴を買い、メンテナンスを行いながらエイジングを楽しみ、底が減ればメンテナンスに出したりしています。

出典:Openers

最近はスニーカーブームの再燃もあり、限定モデルや希少なコラボスニーカーはもはや投機対象といった形で値動きしているようですね。その反面この数年(主にInstagramが普及してから)高級紳士靴にもスポットが当たっているように思います。

そもそも僕のような靴が好きな人間は、それを誰かに披露するような場面は無く孤独な趣味として週末靴磨きを楽しんだり、靴読本なるムック本を読みながら1人の趣味として楽しんでいる人が圧倒的多数でした。

興味がない人からすれば革靴は革靴にしか見えず、ぱっと見で値段も分からなければ「この靴はジョンロブだよ」と言っても「へー(何それ)」くらいのリアクションしかなく、「この靴は20万円するんだよ」と言った日には「あの人の履いてる靴は20万円らしい・・」と変人扱いされてしまいますから内に秘めた趣味とする人が多数だったというわけですね。

出典:fashion-press

そこにInstagramの登場です。

靴マニア達は自分のコレクションを惜しげもなく投稿し、持ってる靴のレビュー、エイジング日記、新たなメンテナンス用品の紹介、鏡面磨きの腕前の披露と靴好きな人たちの一大コミュニティが結成されたのです。その中にはInstagramで知り合った人の靴を預かり、その靴の磨きを行い披露したりする人も出てきたりもはやプロ級の磨きができる人も多くなってきました。

そこに目を付けた伊勢丹も、「靴博」というイベントを開催し靴磨き職人の選手権を行い職人をタレントやアイドルのように持ち上げ、用品メーカーとの巧みなタイアップで高級ブラシの販売やメンテナンス用品の販売、実際に持ち込んだ靴を伊勢丹が選抜した職人に有料で磨いてもらえるというマニア向けの企画も大好評だったようです。

例に漏れず僕も参加しネットで知っていた職人さんに磨いてもらいました。もちろん最後に用品の売り込みがありましたね。ちなみに僕が実際に伊勢丹で磨いてもらったときは、靴磨きは1足4,000円+消費税という価格でした。

今まで個人の趣味として楽しんでいた靴磨きが大きいコミュニティとなって良かったことといえば靴磨き職人の地位向上が挙げられると思います。それまで靴磨きといえば駅やビジネス街で少額の金額で椅子に座った紳士の靴を地面に座って磨き上げるという、完全な上下関係によって成り立っていた商売でしたが、最近ではバーカウンター形式で職人とお客さんが対等な目線でサービスを提供する形に変わりました。

もちろん金額も遥かに上がりましたが、同時に職人のレベルの底上げがされ靴磨き職人一本で生活できる人が増えてきていることや、目指す人が増えていることはとても良いことだと思います。

しかし、革靴を取り巻く環境は必ずしも良くなってきているわけでなく、冒頭にも書いたコロナの影響や戦略的な値上げ、品質の低下等靴が好きな人間から見ると少し眉をひそめたくなるような状況にもあります。マニア化が進んでくるとより先鋭的になったり排他的になったり、間口が狭くなりつつあるという状況ですね。この辺りはまた改めて記事にしたいと思います。

他にもジョンロブ、エドワードグリーン、チャーチ、オールデン、パラブーツ・・・と靴を少しづつ集めてきているので、個別の靴紹介もいずれしていきたいと思います。

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