日本上陸当時のレクサスのデザイン思想L-finesse
前回レクサスにまつわる記事を書いた際に、改めて2005年当時のGS、SC、ISのデビュー時のデザインを再確認したり、2006年販売開始されたLS460の前期型を振り返ってみました。
当時のデザインは非常にスッキリとしたデザインを持ち、「L-finesse」というデザイン哲学に基づいて統一されたデザインに向けて試行錯誤していた頃だったと思います。
トヨタの看板車種のセルシオがレクサスLS460としてデビューしたときは、トヨタ時代と決別するかのような5mを上回るボディサイズに、非常に伸びやかなラインでドイツメーカーのクルマにも似ておらず美しい塗装に上質なレザーとウッドをふんだんに使った内装に「いよいよ国産車もここまで来たものか」ととても驚いた記憶があります。
今改めて見ても無国籍で非常に清潔感のある、レクサスが進む先の道しるべになるようなデザインで非常に美しいと思います。センチュリーでも設定されていない4人乗りモデルが存在し、4人乗りモデルは天井に設置されたフリップダウンモニターの大きな画面と、マークレビンソンのサウンドシステムで後席で迫力ある映画鑑賞ができました。これは実際に体験して非常に驚いた経験でしたね。
アウディのワンモーショングリルの影響
2009年にB8型アウディA4がデビューすると、それまでの“良い車だけど垢抜けないイメージ”だったアウディが、プレスラインがくっきりと入りLEDのデイライトが綺麗なカーブを描いてデイライトとして点灯する、誰が見てもカッコいい車として生まれ変わりました。
その後もアウディはワンモーショングリルをテーマに、シリーズをまたいで共通の顔つきとすることと、より派手で目立つデザインとし街中でも非常に目立つ存在となったと思います。
共通の顔に派手な顔・・今もこのムーブメントは続いており、アウディに続けとメルセデスはナマズ顔になってみたりサメ顔になってみたりと紆余曲折しながらクラスを問わず同じ顔つきになってきています。これは自動車文化が未発達でありながら莫大な購買力がある中国市場向けに同じ顔になるように作ってるという説もありますね。
これに影響を受けてしまったのがレクサスで、無国籍な上品でスッキリとしたデザインからだんだんとヨーロッパメーカーの悪い意味での影響を受け、フロントグリルを大きくしただけのおかしなデザインを経由し大きなスピンドルグリルを装着するようになってしまいました。
派手なデザインが持てはやされる時代に見事に飲み込まれてしまったという他ないですね。改めて2006年当時のラインナップを見てみると、より上質で繊細なデザインでまとめられたデザイン思想で初代ISもスッキリした美しいデザインに見えます。
ドイツ車の後追いはそろそろ終わりにするタイミングかも
ドイツ車をターゲットとし、ドイツ車と同じことをしようとする姿勢とはそろそろ決別するタイミングかもしれません。消費者が巨大なスピンドルグリルに付いていけてないのです。初代LS400が歴史のないモデルにも関わらずアメリカで大ヒットしたのは、圧倒的な静かさやエンジンの振動をシャットアウトした乗り心地の良さを備えており、その車がドイツ車の半クラス下の値段で買えるといったことです。
スポーティーな車や味付けが最近の流行であることから、意図的にサウンドジェネレーターを付けてエンジン音を演出しようとしたり、LS500hが出たばかりの個体は少しでもアクセルを踏むと「ウォーン、ウォーン」とエンジンが唸り音が車内に入ってくるセッティングで非常にガッカリした記憶があります。ドイツ車の後に続くだけではドイツ車は追い越せません。今こそ日本車として目指す高級車を作るという原点に立ち返って車造りをしてもらいたいですね。
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