革靴選びでサイズに迷ったら少し大きめを買ってほしい タイトフィッティング信仰に騙されるな

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革靴のサイズ選びに悩んだら小さめよりも大きめを買ったほうが良いと考えます。もちろん大きめのまま履くことを推奨しているわけではありません。その点は後述します。自分自身も足に合わない小さめの靴を“タイトフィッティング”だと信じ込みサイズ選びを何度も失敗した経験があります。靴のサイズ選びでいつも失敗してしまう人に参考になればと思います。

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タイトフィッティングとの出会い

革靴のサイズ選びは好みもありますが、仕事で履く靴なら夕方むくんだり、たくさん歩いたりもするので履いていて楽な幅の広い3Eや4Eの靴を好む人も多いですよね。また、営業職で脱ぎ履きが多いから紐を緩めにして履いたり最初からローファーを選ぶ人も多いと思います。

靴が好きになって色々な靴を履いてみたいとか、メンテナンスしながら良い靴を履き続けたいと考えるようになると、「靴はきつめを買って徐々に足に慣らしていくほうが良い。革は伸びて足にフィットしコルクが沈んで将来はジャストフィットになる」という“タイトフィッティング”を勧める雑誌やネット記事に出会うこととなります。

靴選びではタイトフィッティングをするべきという“知識”を身に着けてしまったこともあり、本来であればハーフサイズ上がベストにも関わらず、試着の段階で「踵が浮くのはサイズが大きいから」と思い込み、ハーフサイズ下を買ってしまう失敗をすることに繋がります。本当にジャストにも関わらず「今ジャストだと将来緩くなるかもしれない」というような間違った強迫観念に囚われがちです。ではなぜ僕も含めこのような失敗を繰り返してしまう人が後を絶たないのでしょうか。

靴は決して縦に伸びることはない

間違えたタイトフィッティングでやりがちなのは単にサイズダウンをしてしまうこと。つまり縦方向に小さい靴を買ってしまうという失敗です。同じレングスでウィズ(幅)が選べるメーカーの靴であれば、ウィズを下げてレングスはそのままとすることが失敗しないタイトフィッティングへの道となります。

ここで縦方向に小さい間違った靴を買ってしまうと、いつまで経っても足に靴がなじまず朝は良くても夕方から足が痛くてしょうがないといったことに繋がるんですね。爪先が靴の先端に当たってしまったり、朝当たっていないような場所が当たりはじめ靴擦れを誘発するといったことが発生します。

革が伸びてコルクが沈んでも爪先と踵には芯が入っているので、上下方向に余裕が出ることがあっても縦には伸びないということです。

「今日は歩く1日になりそうだ・・」という日にはそういう靴は選ばず、昔買った自分としてはあまり満足できないけど足に優しい履き慣れた靴を履くということになってしまいます。

きつい靴は履けるけど痛い靴は履かなくなる

上記の通り圧迫感がある靴、足と靴が面で当たるような靴は頑張って履くことはできますが、履いていて痛い靴は履かなくなります。靴が折れたときに履き皺が親指に刺さったり踵の靴擦れもその典型。気に入って買った靴でも履かなくなってしまうのが一番もったいないことです。

ネットの記事でも良くあるように、家の中でキャッチャー座りをして馴染ませるとか、痛くなっても良いように替えの靴を持ち歩くとか、そういったことにはならないようにしてもらいたいと思います。結局昔買った歩きやすい靴ばかりを履き続け、新しく靴を手放す事態になりかねません。

オールデンやパラブーツが人気の理由

オールデンやパラブーツは丸いシルエットでとてもアイコニックであり洋服を選ばないこともありますが、人気の秘訣はその履き心地にあります。オールデンのラストではモディファイドラストは土踏まずをぎゅっと絞って、その先は足の指が動かせるほどコンフォートなラストです。バリーラストも中庸なラストで足に負担を掛けるようなラストではありません。パラブーツに至っては分厚いラバーソールのモデルはほぼスニーカー感覚で履ける履き心地の良さです。結局は馴染みやすく履き心地が良く、少し緩く履けるようなモデルが支持されてるというわけですね。オールデンやパラブーツをギチギチのタイトフィッティングで履こうという人がそもそも少ないのでポジティブな意見が多いものだと思われます。

なかにはJMウェストンで推奨されていた“万力締め”と呼ばれるような極端に小さいサイズを選び、痛い思いをしながら将来訪れるであろう極上の履き心地を求めて何年も修行することを愉しみとしている人いますが、将来完全に足にフィットするまでにきっと多くの人が履くことを諦めてしまうことになると思います。そしてその頃には足の形が変わってしまっている可能性もあるので健康を損ないかねないということですね。

そしてその“万力締め”ももはや過去のものであり、店舗でフィッティングをお願いしても極端に小さいサイズを勧められることは今はありません。

サイズで悩んだら少し大きめを買ってインソールを入れてほしい

なるべくならきつい靴は避けてほしいと思います。悩んだら大きめを買って修理屋さんにインソールを入れてもらってください。ソックシートを剥がしてインソールを入れてくれる修理屋さんもあるので、ソックシートは元通り貼り付けるので見た目は変わらずにインソールが入れられます。

既成のインソールを入れるか革を敷くかも選べるのでショップに持ち込んで店員さんに相談するのがお勧めです。他にもメリットとしてはインソールを入れることで履き心地も良くなることが多いですね。

小さい靴を無理やり足の大きさに合わせようと痛い思いをするよりも、少し大きめの靴を買ってインソールで微調整しながら足の大きさに合わせていく方がよっぽど容易ですし健康的に靴を自分自身に合わせることが可能なのです。そして季節や体調で少し靴が緩く感じられたら厚みがあるソックスを履いてサイズ調整をしてみましょう。

そもそも売られている靴そのものが自分自身にピッタリ合うということは稀有なことなのです。人によっては左右でサイズが違ったり好み問題もありますので、既成靴に何も手を加えずに履こうとせず、修理屋さんと相談しながら快適に履けるようにしようと思えば靴選びの失敗も少なくなると思います。

以前は良い修理屋さんは限られていましたが、今ではデパートの中にも良い修理屋さんが入っていることが多いので気軽に相談してみましょう。インソール以外にもタンパッドなど目立たずサイズの微調整が可能なものもあるので靴を買って終わりではなく“調整して自分仕様にする”愉しみも見つけられると思います。

日本人の足は甲が高くて幅が広く、踵が小さいという一般論は真に受けないように

日本人の足については表題のように言われることが多いですが、足の形も千差万別・十人十色です。なぜか踵が小さい靴が良い靴で、踵の大きい靴は悪い靴かのように言われることも多いです。そういった一般論に騙されず試着を重ねて自分に合う靴を見つけてほしいです。

よく、エドワードグリーンの202は名ラストだとか、特定のラストを褒めたり貶したりする人もいますが、足に合うか合わないかはその人の足の形と履き心地の好みによって変わります。こういう話も真に受けないようにしましょう。誰にでも合うラストなどというものは存在しないのです。

ビームスが別注したクロケット&ジョーンズの375ラスト(キャベンディッシュ3に採用)は、ベースの325ラストを改良し“日本人に合うように踵を小さくしたラスト”だそうです。325ラストが日本人に合わないように聞こえてしまいますが、僕が持ってる325ラストのペンブロークはとても足に合って良い靴ですよ。

靴選びについてはネットやSNSで発信されている内容は玉石混合であるため、あまり真に受けない方が良いです。まずはお店に行って気になったモデルを試着させてもらったり触ってみたりして靴に触れう機会を増やしましょう。そしてネットの記事やSNSで言われてることは鵜呑みにせず足に合った靴を買って長く使えると良いですよね。間違っても足にピッタリなグレンソンではなく、ブランドイメージが良いからと言って足に合わないクロケット&ジョーンズを買うといったことがないように。半端なブランド信仰も捨てた方が長く愛せる靴選びの近道になると思います。

※革靴の選び方・揃え方を別の記事にまとめました



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