日常使用しているロレックスのエクスプローラー(Ref.114270)が、竜頭を手巻きで巻いたときに手応えが重くなり、巻いた時にガリガリというような音がするようになりました。
それに加え手で巻いたにも関わらず翌朝には時計が止まっていることも多くなり、時計を振るとカチカチという内部からの異音がありました。
2019年に正規オーバーホールに出していたため保証期間内ということもあり、早速購入店舗に保証書と一緒に持参。小さな方位磁石を時計に近付けたところ、方位磁石の針が動き始めたのが確認できたため“恐らく時期を帯びている可能性が高いです”とのことで修理に預けました。
磁気帯びとは
さて、最近よく聞くようになった磁気帯びですが、具体的にどのような事が原因で時計にはそんな症状が出るのかを確認しておきましょう。
磁気帯びとは磁石を使用しているものと腕時計を近付けることによって、腕時計の内部にある金属部品が“磁化”という磁石のような動きをするような現象が生じ精密機械であるムーブメントが正しく動かなくなってしまうということです。
機械式腕時計の磁気帯びが注目されがちですが、クオーツ時計でも磁気帯びは起こります。内部に磁石を使用しているためむしろ機械式時計よりもクオーツ時計の方が時期の影響を受けやすいとも言えるそうです。
昨今の日常生活ではパソコンやスマートンフォン、タブレットなど磁石を使ったスピーカーを持つ機器に囲まれている状態なので、この磁気帯びを完璧に避けることは“事実上不可能”と言えます。古くはX線技師向けにロレックスが初代ミルガウスを出してたり、最近は対磁性能を高めたムーブメントを各社開発・発表しています。この数年間の機械式腕時計のトレンドは、ロングパワーリザーブと対磁性能の向上という流れでしたね。
ロレックスサービスカウンターはあくまでも“修理窓口”
持ち込んだのは百貨店のブティックに併設されたサービスカウンターでした。それまでには近くを通りかかった都内路面店でも一度見てもらいましたが、オーバーホール保証書も持っていなかったため購入店に持ち込んだという流れになります。サービスカウンターには白衣を着たスタッフがアフターサービスの対応をしてくれます。
そこで思ったのですが訪問した購入店も路面店でも、白衣を着てるからといっても決してカウンターにいるスタッフは“技術者ではない”ということです。カウンターにはタイムグラファーが置いてあったりするため何かしらの処置をそこで行いそうなものですが、そこで何かしらの修理を行うということはなく、あくまでも日本ロレックスのサービスセンターへの“修理窓口”としての役目を果たしているのみの模様。
なので、ベルトを外してシリアルを確認したり受付票を作成するというようなことが主な業務であり、そこでは状態のヒヤリングを行うだけで『修理します』とも『原因はこれです』とも言うことはありません。つまりは日本ロレックスに出せる個体か(贋作、非純正部品の取り付け等)を確認するのが主な仕事といったところです。
異音は治らず返却に
約1か月間の修理期間を経て無事に時計が日本ロレックスから返却されたとの連絡があり、早速受け取りに行ってきました。
結果竜頭の重さは解消されていましたが振ってカチカチと異音がする現象は治っていませんでした。対応してくれた白衣のスタッフに当初預けた際に指摘した事項が治っていない旨を伝えたところ、『確かに音がしますね』ということで再入院に。これは手持ちの他のロレックスを始めとする機械式腕時計では聞こえない音であり、日常使用していてこんな音は以前には出ていなかったことは明白でした。
不誠実な日本ロレックスの対応
その後さらに約1か月後に修理完了の連絡が。今度こそと受け取りにいきましたが結果としては『内部音は作動音によるもので問題ございません。』との回答。前回と同じ担当してくれた方も申し訳なさそうに結果を伝えてくださいました。
参考までにとショーケースから1本販売中の時計を持ってきていただき、同様に振ってみましたがカチカチ音は一切せず。明らかに異音がしているにも関わらず“異常なし”で片付けられてしまうのは何とも納得がいかないというのが正直な気持ちです。
ロレックスの流通形態については様々なところで語られているため省略しますが、日本ロレックスから5社に卸されその系列店で販売されています。ロレックスブティックではロレックスの制服を着たスタッフが接客してくださいますが、その人たちは時計屋さんのスタッフであり日本ロレックスの社員ではありません。
最近は完全な売り手市場であり、人気モデルの流通を絞っていたのがデイトジャストやコンビモデルまで絞るようになり“いつ店に行ってもショーケース内がガラガラ”といった状況が続いています。時計屋さんも日本ロレックスにはあまり意見できないような印象を受けました。(彼らは悪くない)
修理内容が全く不明の謎
時計が返却されるたびに請求書が渡されます。今回は保証対応なのでもちろん請求額はブランクとなっています。
しかし、最初に預かった請求書には作業内容の項目には“時間調整”と“内部点検調整”とだけの記載でした。通常であれば『内部を確認したところ〇〇に異常が見受けられたため◎◎を交換しました』等の記載があるのではないでしょうか。
再度預けて却ってきた追加分の請求書には作業内容自体がブランクになっており、連絡事項に『 内部音は作動音によるもので問題ございません。』との記載。これだけ見れば内部を点検したような形跡は一切なく、そのまま返されただけということだと考えられます。
今回の件で思うこと
機械式時計の魅力としては修理しながら長く使い続けることができる点が最も大きいポイントだと考えています。今までは日本ロレックスのアフターフォローはとても良い対応だと思っていましたが今回の経験から最近そこはかとなく感じていた“殿様商売感”を強く感じました。
もし縁があったらロレックスをもう1本買おうと思っていましたが、今回の件で一気に気持ちが冷めてオメガを購入しました。メーカーは気にしないとは思いますが、“ロレックスはいつ行っても欲しい時計が売ってないし違う時計を買おうか”という自分のような考えを持つ人が今後増えてくるかもしれませんね。
日本ロレックスにはアフターフォローの面ではもう少し顧客の大切な時計を扱っているという気持ちを持って接して頂きたいというのが正直な気持ちです。このバブルが一体いつまで続くのか・・早く欲しい人の手元に届くような日常に戻ってほしいというものです。とはいえ、良くも悪くもいつも腕時計の話題の中心にいるロレックスですので、今後とも注目していきたいと思います。
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